鍼灸でみる【気分障害(抑うつ)】〜東洋医学編〜

2024年05月16日 12:00

こんにちは。
京浜東北線「大森駅」から徒歩10分、大田区山王で鍼灸マッサージを行なっております。
山王はりきゅうマッサージ処りゅうしん堂の大西です。
ブログをご覧いただきありがとうございます!

日々生活していると気分が高揚したり、落ち込むことは誰でもありますよね。
でもその程度が強かったり、長く続いた場合は気分障害と言われることがあります。
今回はそんな気分障害を東洋医学ではどう考えているのかみていきたいと思います。

気分障害の写真

気分障害とは?

気分障害には気分が高揚する「躁状態」、気分が落ち込む「抑うつ」、躁とうつを繰り返す「双極障害」などがあります。

東洋医学では五臓の心は神を蔵し、精神活動を統率・制御する働きがあると言われています。
また、肝は疏泄機能によって気を調節し情志が過剰にならないように制御しています。
そのため、心や肝の機能が失調することによって気分障害が起こります。

気分障害の病態

気分障害の病態でよくみられるのは次の5つになります。

①肝鬱気滞
②気鬱化火
③気滞痰鬱
④心脾両虚
⑤陰虚内熱

①ストレスで気が滞る!肝鬱気滞

肝の疏泄機能が失調することで情志の調節がうまくできなくなり発症する。

・主な原因

⬜︎ストレス
⬜︎緊張やプレッシャー など

・症状の特徴

⬜︎抑うつ、情緒不安
⬜︎ため息がよく出る
⬜︎首肩こりや胸脇部の張りなどを感じる など

※春は肝と関連がある季節であり、気が上昇しやすい時季のため、このタイプの人は春に悪化しやすいかも…

②気が滞り熱を持つ!気鬱化火

気滞の状態が続くと熱化し、気がさらに上昇しやすくなり発症する。

・主な原因

⬜︎ストレスや緊張が長く続いている など

・症状の特徴

⬜︎イライラしやすい、怒りっぽい
⬜︎入眠困難
⬜︎頭痛
⬜︎耳鳴り など

※夏は暑く陽気が旺盛で熱症状が強くなるため、このタイプの人は夏に悪化しやすいかも…

③水分も滞り悪化!気滞痰鬱

気滞の影響で津液(身体の中の水分)の流れも滞り痰湿となることで発症する。

・主な原因

⬜︎ストレスや緊張が長く続いている
⬜︎飲水量が多い
⬜︎胃腸が弱い など

・症状の特徴

⬜︎抑うつ症状が強くなる
⬜︎梅核気(喉に何かが詰まっているような感覚)がある など

※梅雨の時季は湿気が多く痰湿症状が強くなるため、このタイプの人は梅雨や雨の日に悪化しやすいことも…

④こころを養えない…心脾両虚

心脾(こころや胃腸)が損傷し、神を養うことができず発症する。

・主な原因

⬜︎心労が多い
⬜︎考えすぎ など

・症状の特徴

⬜︎クヨクヨしたり臆病になる
⬜︎疑り深くなる
⬜︎中途覚醒
⬜︎動悸 など

※いろんなことが常に頭の中に浮かんでしまう人はこころの栄養が足りてないかも…

⑤潤い不足と熱!陰虚内熱

陰液(身体を潤す力)の不足と内熱の発生によって発症する。

・主な原因

⬜︎飲水量が少ない
⬜︎睡眠不足 など

・症状の特徴

⬜︎思い悩みやすい、不安感がある
⬜︎イライラしやすい、怒りやすい
⬜︎めまい
⬜︎睡眠障害 など

※陰液の不足が強いと不安感の方が強くなる、内熱が強いとイライラの方が強くなりやすい。

気分障害の施術方法

気分障害全般に使うツボ(基本穴)と病態別のツボを紹介します。

○基本施術

どの病態でも心と肝が関わっているため、心と肝に関連する神門、百会、四神聡、太衝などのツボを使うのが基本施術になります。

気分障害のツボ

○病態別施術

上記のツボにそれぞれの病態に関連するツボを合わせていきます。

①肝鬱気滞

気が滞りが起きているため、気をめぐらせる内関などのツボを合わせます。

②気鬱化火

熱化しているため、清熱効果のある曲池などのツボを使います。

③気滞痰鬱

痰湿も発生しているため、去痰に働く豊隆などのツボを追加します。

④心脾両虚

気血不足で神が養えていないため、気を補う足三里、血を補う三陰交などのツボを合わせます。

⑤陰虚内熱

陰液の不足と内熱が起こっているため、陰液を補う復溜、清熱に働く曲池などのツボを使います。

※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態やお話を聞いた内容によって変えていきます。

気分障害のセルフケア

気分障害のセルフケアを3つ紹介します。

①ストレス発散ができる趣味や運動をする

気分障害は気が滞ることで起こります。
趣味でストレスを発散したり、運動することで気をめぐらすことができます。

②適切な食事を取る

食事が乱れ痰湿になったり、栄養不足で心を養うことができなくなります。
バランスの取れた食事を心がけましょう。

③十分な睡眠を取る

睡眠がしっかり取れないと陰液が減少しやすくなります。
また気分障害でさらに眠れず悪循環になりやすいため注意しましょう。

いかがだったでしょうか?
気分障害はなかなかすぐに治るものではありません…
しかし、通常の病院での治療と鍼灸施術を合わせて行うことで治療効果を高められる可能性があります(病院での治療も併せて行なうことが大切になります)
まずはお気軽にご相談ください。

りゅうしん堂 大西

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年

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