鍼灸でみる【眼精疲労】

2023年12月26日 12:00
カテゴリ: 東洋医学症状

こんにちは、大田区大森・山王エリアで鍼灸マッサージを行なっております。
山王はりきゅうマッサージ処りゅうしん堂の大西です。
ブログをご覧いただきありがとうございます!

現代の生活でパソコンやスマートフォンなどの画面を見ない日はないと思います。
そうなってくると必然的に目の疲れを感じている人も多いのではないでしょうか?
今回は東洋医学的に眼精疲労をどう診るのか話していきたいと思います。

眼精疲労とは?

眼精疲労とは目を使い続けることによる目の疲れや痛み、かすみや充血など目の症状が出現、さらに頭痛や肩こり、吐き気など全身症状が合わせて出てくる状態を言います。
また休息や睡眠をとっても十分に回復できない特徴があります。
一方、目だけの疲れの場合は眼疲労と言いい、こちらは休むことで回復します。

眼精疲労というと目の症状たけだと思いがちですが実は全身の症状が出てくる状態なのです。
最近はVDT症候群(スマホやパソコンなどのディスプレイを長時間使った作業により、目や身体、心に影響のでる病気)としても増えています。

眼精疲労の写真

目に関連する生理物質と臓腑

東洋医学では目は肝の関連領域と言われています。
また目は血によって滋養されることで機能が発揮されます。

→目は肝血の影響を受けやすい。

髄海(脳)は精によって滋養され、髄海が滋養されることで五官(目、鼻、口、舌、耳)の機能が十分に発揮されます。
そしてその精は腎に蓄えられています。

→目は腎精の影響を受けやすい。

※血とは血脈の中を流れる栄養豊富な赤い液体(西洋医学でいう血液に近いもの)
※精とは生理物質の最も良いところを濃縮したエッセンスで成長発育、生殖、老化に関係する。

眼精疲労の病態

眼精疲労になる病態でよくみるのは次の3つになります。

①肝血虚(かんけっきょ)
②肝腎精血不足(かんじんせいけつふそく)
③肝腎陰虚(かんじんいんきょ)

①肝血虚

肝血が不足して目を滋養することができなくなり眼精疲労が起こった状態。

○原因
・過労
・慢性出血
・月経過多
・出産
・手術
・食事の乱れ
・脾胃(胃腸)の失調で血が作られない など
→出血などで血が減るか、食べ物をうまく取り込めずに血が作られないことで起こる。

○症状
・眼精疲労
・転筋(足のつり)
・しびれ
・中途覚醒(夜中に途中で起きてしまう)
・多夢(夢を見ることが多い) など
→筋の血も不足すると足のつりやしびれが出現する。

②肝腎精血不足

肝血と腎精の両方が不足して目を滋養できずに眼精疲労が起こった状態。

○原因
・加齢
・久病
・睡眠不足
・房事(性交)過多 など
→ 肝血が不足する原因は肝血虚の原因と同じ、さらに上記の原因で腎精が不足することで起こる。

○症状
・耳鳴り、難聴
・めまい
・健忘
・腰膝酸軟(膝腰の弱さ) など
→肝血虚で起こる症状に加えて上記の症状が出現する。

③肝腎陰虚

肝腎精血不足から進行して起こることが多い、血や精の不足が進み身体を潤す力が下がり熱を帯びた状態。

○原因
・長期のストレス
・久病
・過労
・加齢 など
→長期間、原因が解消されないことで起こりやすい。

○症状
・充血
・目の乾燥
・五心煩熱(手足のほてり、胸がソワソワして落ち着かない状態)
・盗汗(寝汗)
・口や喉の渇き など
→肝腎精血不足で起こる症状に加えて熱や乾燥症状が出現する。

眼精疲労の施術方法

眼精疲労は肝血や腎精の不足で目が滋養されないことで起こります。
そのため目の周りのツボ(睛明、魚腰、太陽、四白など)を使い目への滋養を高めていくのが基本になります。

眼精疲労のツボの図

さらに病態によって使うツボを組み合わせていきます。
肝血虚の場合は血を補う三陰交を足す。
肝腎精血不足の場合はさらに腎精を補う太渓を追加する。
肝腎陰虚の場合は腎陰を補う復溜を使うなど。

※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態やお話を聞いた内容で変えていきます。

眼精疲労のセルフケア

○適切な食事と睡眠をとる

当たり前と言われればそれまでですが食事と睡眠が基本です!
食事をとることで血が作られ、睡眠をとることで全身にめぐるようになるので食事睡眠が乱れている場合はここから改善していきましょう。

○目に負担がかかる作業環境を見直す

長時間画面を見ていないか?画面に目が近すぎないか?明るい場所で作業をしているか?など環境を変えるだけでも目への負担が減ります。

○目を温めるor冷やす

今つらいという時の対処療法として温めるor冷やすという方法があります。
肝血虚など血が不足している場合は温めることで血の循環がよくなります。
蒸しタオルなどで温めてあげましょう。
肝腎陰虚などで熱を持っている場合は目を冷やしてあげるとスッキリします。

いかがだったでしょうか?
東洋医学の鍼灸では上記のように眼精疲労を診て施術を行なっていきます。
眼精疲労は施術が終わった後に「目の前が明るくなった!」と言っていただけることがよくあります。
ぜひ一度お試しください😊

りゅうしん堂 大西

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年

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