大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
頭痛をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。

頭痛

頭痛とは?

頭部の一部、あるいは全体の総称のことをいいます。
また後頭部と首の境界、目の奥の痛みも頭痛として扱います。

頭痛の女性

西洋医学では大きく分けて一次性頭痛(頭痛そのものが病気である慢性頭痛)、二次性頭痛(器質的疾患が原因である頭痛)、後頭神経痛などの3つがあります。

①一次性頭痛:片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など
②二次性頭痛:くも膜下出血、脳出血、髄膜炎などによるもの
③後頭神経痛:大後頭神経、小後頭神経などによるもの

東洋医学では大きく分けて外感性頭痛(外邪(外界の環境)の影響による頭痛)、内傷性頭痛(メンタルや生理物質の過不足など身体の内部の影響による頭痛)などの2つがあります。

①外感性頭痛:風寒、風湿、風熱など
②内傷性頭痛:肝火上炎、肝陽上亢、痰湿など

頭痛に対する鍼灸施術のエビデンス

一次性頭痛、片頭痛や緊張型頭痛についていくつか研究報告がさせています。

①一次性頭痛

一次性頭痛に対する鍼灸施術は非薬物療法として欧米では広く実施され、ランダム化比較試験(RCT)による報告も多くあります。
日本での大規模な検査は見当たらない状況です。
ヨーロッパからの大規模な臨床報告によると一次性頭痛に対する鍼灸施術の効果は、通常ケアに鍼施術を加えた鍼施術群では施術3ヶ月の頭痛日数は8.4日から4.7日に減少し、対象群(通常のケアのみ)の8.1日から7.5日と比べて有意な頭痛日数の減少効果を示しQOL(生活の質)指標の改善も鍼施術群の方が優れていました。
日本でも症例報告などはありますが臨床実験の質、および量は不十分であることから、さらに質の高いエビデンスの集積が必要とされています。

②片頭痛

片頭痛に対する報告では、鍼施術はシャム鍼施術(プラセボ)より有用かどうかはまだ証明されていません。
しかし、有効性が確立された予防薬との比較では同等かわずかに優れた結果があり、有害事象はより少ないとされています。
薬物の過剰使用による薬物乱用頭痛などの問題もあり、薬の使用量を減らせる可能性がある鍼灸施術は選択肢のひとつとして有用かもしれません。

③緊張型頭痛

緊張型頭痛に対する報告では、鍼施術は2、4、6ヶ月の頭痛の頻度と程度がわずかにシャム鍼施術より効果が高いことが報告されています。
またマニュアル(手)による鍼施術よりも鍼通電療法、単刺術(刺してすぐ抜く方法)よりも30分の置鍼術(刺したまま置いておく方法)、週1回よりも週2回の施術の方がより効果的であったとも報告されています。

頭痛に鍼灸が効くメカニズム

一次性頭痛に対しての鍼灸施術のメカニズムについていくつかの報告があります。
しかし、明確なものがまだ少ないのが現状です。

①片頭痛

片頭痛がある方は首肩こりを訴えることが多くあり、首肩こりの度合いと頭痛日数が相関するとの報告もあります。
そのため、首肩周りの鍼灸施術の有用性が高いと推察されています。
また、片頭痛がある方と健常者では顔面部や首肩周りへの鍼刺激による脳血流の増加反応が異なり(片頭痛がある方は刺激中のみでなく刺激後も増加が見られた)、片頭痛の発作予防に対する鍼施術の作用機序に高位中枢が関与している可能性も考えられています。

②緊張型頭痛

緊張型頭痛の発生機序には、頭部の筋よりも後頚部や肩甲上部、肩甲間部の筋の過緊張が重要な役割を果たしていると考えられています。
鍼施術はこうした筋の過緊張を緩和し循環を正常化することが示唆されています。
また、鍼施術を行うことでこうした局所の反応だけでなく高位中枢にも影響を及ぼし自律神経系に作用していることも明らかになっています。

頭痛のタイプ

東洋医学における外感性頭痛の3タイプと内傷性頭痛の6タイプをご紹介します。

○外感性頭痛

①風寒(ふうかん)タイプ

・寒邪の影響で頭部の気血の流れが悪くなり頭痛が起こるタイプ。

・冷えで悪化する、悪寒を感じるなどの特徴があります。

②風湿(ふうしつ)タイプ

・湿邪の影響で頭部の気血が滞り頭痛が起こるタイプ。

・重だるい頭痛がある、雨の日に悪化しやすいなどの特徴があります。

③風熱(ふうねつ)タイプ

・熱邪の影響で気が上昇し頭痛が起こるタイプ。

・気温が高いと悪化する、発熱することもあるなどの特徴があります。

○内傷性頭痛

①肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ

・ストレスなどにより肝が熱化し頭痛が起こるタイプ。

・側頭部や頭頂部に痛みが出やすい、めまいが出ることもあるなどの特徴があります。

②肝陽上亢(かんようじょうこう)タイプ

・肝の熱が上昇し、腎の潤いが低下することで頭痛が起こるタイプ。

・肝火上炎タイプの症状にほてりや寝汗など陰虚の症状を伴う特徴があります。

③痰湿(たんしつ)タイプ

・食事の乱れなどで痰湿が発生し頭痛が起こるタイプ。

・重だるい頭痛がある、胃のつかえを感じるなど胃腸症状を伴うなどの特徴があります。

④血瘀(けつお)タイプ

・外傷によって血瘀が生じる、または他のタイプの影響で血が滞ることで頭痛が起こるタイプ。

・刺すような痛みがある、痛みの部位は移動せず一定などの特徴があります。

⑤気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ

・過労や出産などで気血を消耗し頭部が滋養できず頭痛が起こるタイプ。

・はっきりしない痛み、疲れると悪化するなどの特徴がります。

⑥腎精不足(じんせいふそく)タイプ

・過労や出産などで腎精が不足し頭痛が起こるタイプ。

・空虚感を伴う頭痛がある、足腰のだるさや耳鳴りを伴うなどの特徴があります。

頭痛のツボ

頭痛全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別に使うツボがあります。

○基本のツボ

頭痛は頭部の気血が滞るまたは不足することで起こるため、痛む部位の気血を調整するのツボが基本になります。

・後頭部→風池など

・側頭部→太陽など

・前頭部→上星など
・
頭頂部→百会など

頭痛のツボ

○タイプ別のツボ

基本のツボに合わせ、それぞれのタイプ別のツボを使います。

○外感性頭痛

①風寒タイプ

 大椎など。

→風寒を散らすためお灸がおすすめ。

②風湿タイプ

陰陵泉、豊隆など。

→湿を取り除きます。


③風熱タイプ

曲池など。
→風熱を散らします。

○内傷性頭痛

①肝火上炎タイプ

太衝、肝兪など。
→肝の熱を取ります。

②肝陽上亢タイプ

太衝、太渓など。
→肝の熱を取り、腎を潤します。

③痰湿タイプ

豊隆、足三里など。
→痰湿を取り除き胃腸を強めます。

④血瘀タイプ

三陰交、血海など。
→血の滞りを取ります。

⑤気血両虚タイプ

足三里、三陰交など。
→気血を補います。


⑥腎精不足タイプ

 太渓、腎兪など。
→腎精を補います。


※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。

頭痛のセルフケア

①季節や天気に合った服装をする

寒邪や熱邪など環境の影響で頭痛が起こることがあります。
身体を冷やさない、熱がこもらないように服装などで調節しましょう。

②暴飲暴食をしない

食事の乱れで痰湿が生じたり、気血が不足するため暴飲暴食や偏食は避けましょう。

③適度な運動

気血の滞りを流すため、また原因となるストレスを発散させるためにも身体を動かすことがおすすめです。


⚠️頭痛には早めに対処しなけでばいけない危険な頭痛もあります。

普段と違う頭痛を感じた場合はまずは病院で診てもらうことをおすすめします。

参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

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