大田区大森・山王の鍼灸院、りゅうしん堂では
生理痛をどうみるのか
東洋医学と西洋医学の視点を織り交ぜながら
ご紹介します。
生理痛とは月経時に現れる下腹部の痛みで、西洋医学では月経痛、東洋医学的には痛経と呼ばれます。
また生理痛を含め月経直前〜月経時に腰痛、悪心・嘔吐、頭痛、食欲不振やイライラなどがあり、生活に支障が出ている状態を月経困難症と呼びます。
月経困難症は器質的疾患がなく起こる機能性月経困難症と子宮内膜症や子宮筋腫などの器質的疾患が原因で起こる器質性月経困難症に分かれます。
機能性月経困難症の原因には諸説ありますが、プロスタグランジン説が有力です。
プロスタグランジンの生産が多いと子宮筋が過剰に収縮、その結果、子宮筋の血流が悪化し痛みが起きると言われています。
器質性月経困難症は子宮内膜症、子宮筋腫など器質的な原因があり発症します。
機能性月経困難症では月経の初日〜2日目頃の出血が多いときに強く、周期性でけいれん性の痛みが起こります。
器質性月経困難症では月経前4〜5日から月経後まで続く持続性の鈍痛が多いとされます。
日本における月経困難症に関するアンケート調査(対象10000人/4230人から回収)では
・生理痛が全くない21.4%
・生理痛はあるが日常生活に支障がない45.9%
・鎮痛剤の服用で日常生活が普通に送れる26.8%
・鎮痛剤服用でも日常生活に支障をきたす4.1%
・生理痛で寝込んでしまう1.9%
との結果でした。
機能性月経困難症にはプロスタグランジンの産生量が関与していることからプロスタグランジンを抑制できれば生理痛減少の効果が期待できます。
しかし、鍼灸施術を行うことでプロスタグランジンが減少したという報告がある研究は今のところ確認されていません。
そのため鍼灸施術を行うことで骨盤神経を介して子宮筋の血流改善、および子宮筋の運動に影響することで痛みを抑えているのではないかと考えられています。
生理痛では次の4タイプがよくみられます。
気血の生成不足、または気血を消耗したことにより起こるタイプ。
✅月経中や月経後に下腹部のはっきりしない痛みや空虚感、下垂感がある
✅お腹を押されると楽になる
✅月経の量は少なく、色は淡い
✅顔に艶がない
✅疲労感、めまいがある
などの特徴があります。
過労や胃腸が弱い(脾胃虚弱)人で起こりやすくなります。
疲れている、元気がなくて生理痛がある人はこれかもしれません。
肝腎の精血が不足、または肝腎の精血が損傷することにより起こるタイプ。
✅月経中や月経後に下腹部のはっきりしない痛みがある
✅お腹を押されると楽になる
✅月経の量は少なく、色は淡い
✅足がつりやすい
✅耳鳴りが出やすい
などの特徴があります。
生まれつき持っている力の不足(先天不足)している、夜の営みが多い(房事過多)、多産などで起こりやすくなります。
肝の疏泄機能が失調すると気が滞り、これが子宮(女子胞)の血を阻滞させ血瘀になることで起こるタイプ。
✅月経前から月経中に下腹部の張りや刺されるような痛みがある
✅お腹を押されるのを嫌がる
✅月経周期も乱れやすい
✅月経量は少なく、色は暗紫で血塊が混じりやすい(血塊が出ると痛みが楽になる)
✅胸や脇の張った痛みが出る
などの特徴があります。
ストレス(情志の失調)で起こりやすくなります。
ストレスがあるときのほうが痛みが増し、周期も乱れます。
身体が冷え、血が阻滞し血瘀になることで起こるタイプ。
✅月経前から月経中に下腹部の冷えた痛みや刺されるような痛みがある
✅お腹を押されるのを嫌がる
✅月経量は少なく、色は暗紫で血塊が混じりやすい
✅手足の冷えを感じる
などの特徴があります。
寒い環境にいる、冷たい食べのもや飲み物の取りすぎることで起こりやすくなります。
お腹を温めると痛みが楽になりやすいのも特徴です。
生理痛全般に使うツボ(基本のツボ)とタイプ別に使うツボがあります。
中極、帰来、次髎など。
子宮(女子胞)の痛みを止めるためのツボを使います。
足三里、三陰交など。
→気や血を補う。
太渓、三陰交など。
精や血を補う。
太衝、血海など。
気や血をめぐらせる。
下腹部のお灸、血海など。
→冷えを取り血をめぐらせる。
※使うツボはあくまで一例であり患者さんそれぞれの状態によって変えていきます。
栄養不足でも生理痛になることがあります。
働きすぎや、無理なダイエットで食事量を極端に減らしたり、特定のものばかりの食事にならないように気をつけましょう。
ストレスが溜まると気や血が滞りやすくなります。
全てのストレスを避けることは難しいと思うので休む時はしっかり休む、または軽い運動を習慣にするのがおすすめです。
お腹を冷やさないように寒い時はカイロを使ったり、冷たい食べのもや飲み物の取りすぎに注意しましょう。
参考:教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年
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