食べ過ぎ、ストレス、病気など人生で今までお腹が痛くなったことがない人はいないのではないでしょうか？
今回は腹痛の中でもおへそよりも上で起こる上腹部痛について東洋医学ではどう考えるのかご紹介します。
腹部に感じる痛みの総称。
消化器系に由来するものが多いですが、腎・泌尿器、血管系、女性生殖器、全身疾患、さらには心因性によるものまで原因は幅広くあります。
東洋医学的に上腹部痛が起こる病態として次の5つが考えられます。
冷たい外邪（寒邪）が胃に侵襲する。
または、冷たいものなどの取りすぎで胃が冷え起こります。
✅急に強い痛みが出る
✅冷えで悪化、温めると軽くなる
✅お腹を押されるのを嫌がる など
※お腹が冷えて起こる腹痛。
ストレスや感情の乱れ（情志の失調）で肝の気が滞り、それが胃に影響することで起こります。
✅膨満感や張ったような痛み
✅ストレスで悪化する
✅ゲップが多い
✅胃酸が上がってくる（呑酸） など
※ストレスで起こる腹痛。
長引く病気などで胃の陰液（血や津液など）が不足し、胃が滋養されず起こります。
✅シクシクとした痛み
✅熱感を伴う
✅空腹感はあるがあまり食べられない
✅便秘 など
※潤す力が減少し熱を感じる腹痛。
過労や偏った食生活で胃腸が弱り、胃を温める力が減少し起こります。
✅我慢できるくらいのはっきりしない痛み
✅冷えを伴う
✅冷えで悪化、温めると軽くなる
✅お腹を押されると心地いい など
※栄養不足などで胃腸が弱ったときの腹痛。
暴飲暴食や不規則な食事によって胃に食物が停滞し起こります。
✅膨満感や張ったような痛み
✅ゲップが出やすい
✅吐くと楽になる
✅お腹を押されるのを嫌がる など
※食べ過ぎでの腹痛。
上腹部痛に使う基本のツボと病態別のツボを紹介します。
上腹部、胃の位置にあるツボの中脘、胃経にあり胃のツボとして一番な足三里などを使います。
冷えを取るため、関連するツボにお灸などを行います。
→胃兪、上脘など。
ストレスなどを緩和するため肝に関わるツボを合わせます。
→太衝、肝兪など。
熱を取り潤いを補うツボを使います。
→曲池、三陰交など。
胃腸を強めるため脾胃に関わるツボを使います。
→脾兪、胃兪など。
足三里と組み合わせて消化を助けるツボを合わせます。
→内関など。
上腹部痛のセルフケアを3つ紹介します。
寒邪犯胃や脾胃虚寒などは冷えると悪化し、温めると軽くなる特徴があります。
腹巻きや温かい飲み物などでお腹を守りましょう。
肝胃不和などはストレスにより腹痛が起こります。
ストレスを避ける、または軽い運動や趣味でストレス発散を行いましょう。
栄養が偏ったり、暴飲暴食をすることで胃陰虚や食滞胃脘になりやすくなります。
腹八分目、食事のバランスや量に気をつけましょう。
いかがだったでしょうか？
下腹部の痛みについては次回のブログでご紹介したいと思います。
気になる症状があるときはぜひ一度ご相談ください。
りゅうしん堂 大西
参考：教科書検討小委員会著『新版 東洋医学臨床論』南江堂、2022年
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