鍼灸でみる【過敏性腸症候群(IBS)】〜西洋医学編〜

2025年05月08日 17:00

こんにちは。
京浜東北線「大森駅」から徒歩10分、大田区山王で鍼灸マッサージを行なっております。
山王はりきゅうマッサージ処りゅうしん堂の大西です。
ブログをご覧いただきありがとうございます!

以前のブログで東洋医学の視点からみた便秘や下痢について話しました。
今回はその中のひとつ便秘や下痢が起こる過敏性腸症候群について西洋医学の視点から見ていきたいと思います!

過敏性腸症候群で悩む人

過敏性腸症候群とは?

繰り返す腹痛や腹部の不快感が主な症状で便秘や下痢を伴う消化器症状になります。
器質的な異常がなく、ストレスや自律神経失調などによって刺激に対して腸が過敏になっている状態と考えられており原因が不明なことも多くあります。

診断基準としては以下のようなものがあります。

腹痛あるいは腹部不快感が6ヶ月以上前からあり、最近3ヶ月間は月に少なくとも3日以上にわたり繰り返し起こり、下記の3つの症状のうち2つ以上を伴うもの。
①排便によって症状が軽減する
②排便頻度の変化を伴う
③便の形状の変化を伴う
※Rome Ⅲ 診断基準

過敏性腸症候群に対する鍼灸の研究

IBSについていくつかの研究を見てみたいと思います。

①刺す鍼と刺さない鍼の差はない??

ツボに鍼を刺す施術とツボ以外に鍼を刺す施術、刺さずに皮膚を刺激するだけの鍼施術3つを比べた研究が行われました。
その結果、どの施術でもIBSの症状の改善はみられたがそれぞれに有意な差はなかったとのことです。

②通常の治療と鍼施術を合わせると良い!?

通常の治療とそれに鍼施術を併用した場合を比較した研究では、中医学的な診断を元にし個人に応じた鍼施術を約3ヶ月に平均10回行った。
その結果、IBSの症状の度合いは鍼施術を併用した方が有意に減少した。
その効果は6ヶ月後、12ヶ月後も継続した。

IBSについての研究はまだまだ質や量が良いものが少なく不明なことも多いのが現状です。
例えば①の結果だけを見ると鍼施術の効果が無いように思えますが、日本にはてい鍼といって刺さずに皮膚を刺激する施術方法もあることから、実際に効果がないのか皮膚を刺激するだけでも効くということなのかは今後の研究が待たれるとことです。

過敏性腸症候群に鍼灸が効くメカニズム

現在言われてるIBSに対しての鍼灸施術のメカニズムを紹介します。

○同じツボでも効果が変わる!?消化管運動への作用

腸の運動が弱まると便秘になり、運動が異常に亢進すると下痢になります。
ラットを対象にした研究では足三里(足のツボ)へ鍼通電刺激を行うと腸の動きが促進されることがわかっています。
一方、腸の動きを異常に亢進させた状態のラットの足三里に鍼通電刺激を行うと腸の動きを抑制する効果があることがわかりました。
面白いことに同じツボに同じ刺激をしても状態の違いで作用が真逆になり便秘でも下痢でも改善に向かう働きが見られます。
この効果は副交感神経が関与していると考えられています。

○手と足の刺激が腸へ作用?腸の過敏性への作用

内関(手のツボ)と足三里、合谷(手のツボ)と足三里の組み合わせで鍼通電を行うと腸の知覚閾値が上昇、つまり過敏になっていた腸を落ち着かせることができます。

いかがだったでしょうか?
同じツボでも効果が変わることや、手と足のツボへの刺激が腸へ影響するなど驚くことが解明されつつあり面白いですよね。
りゅうしん堂では東洋医学と西洋学の二つの考え方を合わせて施術を行っています。
まずはお気軽にご相談ください。

りゅうしん堂 大西

参考:川喜田健司、矢野忠著『鍼灸臨床最新科学』医歯薬出版株式会社、2014年

※研究の結果が必ず正しいわけではなく個人差があります。また違うアプローチの研究や違う結果になる研究が出ることもあります。日々新しいことが発見されており理論が変わる可能性もありますのでご注意ください。

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